カウンセリングは生きている 



カウンセリングというのは不思議なものです。

僕はいつもそう思います。

個人顧問セッションの時もそうですが、

毎回終わった後に不思議だと思います。


「カウンセリングは生きている」


そう感じます。


当たり前ですが、同じカウンセリングなど存在しない。



あえて視覚的に、物理的にカウンセリングを表現してみます。

始まりは穏やかな風。

優しく流れてくるような感覚です。

そしてまずはその流れにこちらが身をゆだねる。

始めは穏やかなので、乗りにくい時もあります。

しかし、ひとつその流れをつかむと、

あとは自然に吹かれていく。


風には強弱があります。

でも、力を抜いた状態であれば抵抗を感じることはない。

ある人がこう言っていました。


「気球は風の中にいる」

「だから気球に乗ると風が吹かない」


それくらい流れに乗れると、

いろいろなことが見えてきます。


どんなに向きが変わろうとも、

その風の中にいれば、

惑うことなく見ることが出来ます。



「生きている」というのは、

その風が予測不能に変動するということです。

予測不能という部分が大切です。

例えば、カウンセリングの前にメールで質問をもらったとして、

事前にそのカウンセリングのシュミレーションをしても、

大半の場合、意味がありません。

まったく別物になるからです。

その場で、その瞬間で感じるもの以外に、

本当に必要な情報は存在しません。

そう言い切るのは強すぎますが、

僕の経験上ではそう言える。


「生きているから変わる」


前里が言う「生もの」という表現ですね。

ここで面白いのは、

生きているなら難しい、予測不能なら大変だ。

ということにはならない部分です。


気球の話になりますが、

要するにその予測不能な風の中、

流れの中にいれば、ただそれで良いということです。


身をゆだねるという表現は、

どこかいい加減に聞こえるかもしれません。

しかし違います。


その中にいれば、身をゆだねていれば、

その時一番必要な情報、

一番役に立つ情報を伝えることが出来るようになっているのです。


準備は必要です。

でも準備は要らない。

矛盾していますが、実際そう表現することしかできない。

それを全部伝えようとすると、

多すぎて分からないという新しい矛盾が生まれるからです。

でも、「だから難しいんだ」ではなく、

「全部を知ろうとしなくても大丈夫なんだ」

と思えばいいのです。


そして、その風はカウンセラーだけに吹くものではない。

相談する方も、

その場で、その瞬間で感じることを質問することが、

良い結果につながる場合も多くあります


例えばよくある話では、

質問しようと決めていたことが、途中で聞く必要がなくなった。

とか、

質問リストに書いてあることを、結局一つも聞いていない。

しかし問題は解決した。

など。


それは相談者の方が風の中にいる証拠ですよね。

予測不能な風の中にいるからです。


そして実は面白いことに、

その風の中にいるなら、

もうそれで完結していると言っても大げさではない。


「質問して答えが出て、それを実行したから問題解決した」


ように見える一連の流れも、

実はカウンセリングを受けに来た時点で決まっていたりします。

穏やかな風に乗れるほど「やわらかい」のだから、

固い現実を持ち続けることの方が、

逆に困難になりますよね。


たとえばこんな話もあります。


「カウンセリングの申し込みをしたら解決した」

「だから何を聞いていいかわからないけど大丈夫ですか?」


面白いです。

カウンセリングを受けてみようと思ったその方は、

その時点でというよりも前に、

すでに心が変わっているから「受けてみよう」

と思ったので、思うその前の時点ですでに、

解決するという現実をつかんでいる。

ということになるのです。



「だったらいつの時点で何をどうすればいいのか」

「カウンセリングはいらないということなのか」



いろいろな思いが出てくるかもしれません。

しかし、それすらも風の中にあります。

自分が一番良いと思う選択をすればいいのです。


僕は最近こう思います。

この世界を最高に楽しむことは、

自分をどれだけ信頼できるかに比例する。


自分に疑いを持たずに選択することがそれに直結するし、

さらなる力が溢れる。

もしあなたがカウンセラーだとしても、

そうではないとしても同じです。


自分に吹いている風を心地良いと感じるのであれば、

その風に乗れば良い。

そうでないのであれば、その風が吹く場所を探せば良い。

どうやって探すのかは心が知っています。

心が知っているとは、心のおもむくままに動くこと。

そして、そのすべても風の中にあります。



前里光秀研究所 川満由希夫
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